ビジュアルノベル「LOOP THE LOOP【5】藝術家の庭」
はい。
今回は
「LOOP THE LOOP【5】藝術家の庭」
の感想をお届けします。今回も長いと思う...。
因みに「LOOP THE LOOP【4】錯綜の渦 episode.0」もありますが、そちらは割愛させていただきます。
読んだのは読んだのですが、主に冴木の過去編といえばいいでしょうか。館に行く前、LTL体験以前の物語です。さらにいえば、冴木ともう1人。関係が拗れてしまった冴木の親友の回想になります。
そこでは、館~渦に登場した人物との馴れ初めもあったり。
「なるほど、そういう事があったんだなぁ...」という、現在の関係性の所以が主に語られていたので感想という感想が書けそうにないから、という理由で割愛します。最後の最後に、今作への繋ぎはありましたが。
さて、ネタバレ注意ということで、書いていきますね。
多く出てくるので、名前を出しますね。渦の終わりに「芸術家である狩野アキが、建設中の庭園施設で自殺した」という報道が為されました。
その段階で理由など謎はありましたが、問題はその後、死んだはずの狩野から、庭園への招待状が届きます。館で「家族」と称して生活していた11名に。
すぐさま冴木は動きました。冴木ともう1人。館でも渦でも中心となっていた藍川という男性です。因みに私は藍川と結婚する。じゃあな。
因みに藍川が、著名な小説家で、LTLを小説にした人です。普段は適当な冗談ばかりで、ふざけてばかりなんですね。多くの人を魅力する名作を書くとは思えないほど。
最高...。
と思えば、誰もを助けたいという優しさを持ちつつも、頭脳明晰、何でもそつなくこなす、本当に天才肌な人。知識も豊富でそこは小説家ならでは、という感じ。
最高です...。
さて、冴木と藍川が我先に狩野が自殺した庭園へ調査に向かいます。
なぜなら、そこで関係者が忽然と姿を消したから。彼らはLTLの発生を確信し、他に招待状が届いた者達へ「来るな」とだけ言い残し、姿を消しました。
2人ならばきっとLTLから生還する、と信じていたほかの人たちも、続々と庭へ集結し、自らLTL世界へと入っていきました。
そこには、自殺したはずの狩野の姿。今までの彼と違い、ニコニコとした笑顔で、話すことも可能になっていました。狩野なだけに~~~~~~~~~!!!!!
.........。
...それもそのはず、今までのLTL世界は「誰かの死に瀕した状況」が発生条件となっていました。
狩野はみんなの集合を待ち、語ります。空を飛んだり、高速移動をこなし、圧倒的な力の差を示しながら。
狩野曰く「自分がこのLTLを作り出した。現実で既に肉体のない自分には、制限が何も無い。何でもできる。LTLで起こったことは全てわかるし、人の心も読めるこの世界の神である」と。
新世界の神...?Oh、夜神月...アーメン...(胸の前で手を組む)
まぁ神とまでは言ってなかったけど...。
そこでの狩野の提案は「館の時と同じように、家族で、ずっとこの世界で楽しく暮らそう」というもの。
もちろんみんなは反発心を抱きますが、狩野は未知なる力を持っている。空も飛べる、高速移動もできる。そんな彼が、何の力も持たない他のものを容易に殺すことができるのは、すぐに予測できました。
さらに狩野はルールを設けます。
根拠の無い不当な悪口を言わない、陰口も禁止
脱出について、考えない、相談をしない
まとめるとこんな感じ。
そしてその世界の中で狩野対他の脱出をかけた戦いが始まるわけです。
狩野に決定的な敗北を突きつけ、さらに脱出の鍵を見つける。これがゴール。しかしながら、狩野の話が本当なら、脱出のための相談ですら狩野は知り得てしまう。そしてその瞬間に相談していた者達は殺されてしまう、という状況。
お話としてはこんな流れですね。
さて、感想ですが、序盤はしんどかったですね。狩野は中心人物であり脅威となりうる冴木と藍川を常に自分の傍に置きました。彼らも逆らえませんから、ずっと付き従う形。ほかの人達はそこまで脅威じゃなかったからですね。
そこからですが、狩野は家族で楽しく暮らそうと打ち出したわりには、みんなを煽りました。
心無い言葉を重ね、人間関係を崩していこうと狙う悪意に満ちた言葉です。
ここは読むのも正直嫌でしたね。そのパートが長いというだけでなく、悪意に満ちた言葉の数々をひたすら読むことになりましたから。
特別好きなキャラはもちろんいますが、特段嫌いなキャラはいないんですよね。みんな嫌いじゃない。だから、それに対する悪意に満ちた言葉を読むのは耐え難かったです。
例えば
「本当の小説家がいる前で、趣味で小説を書いているなんてよく言えるね?」
「婚約者がいるのに、君の想い人は他にいるんだもんね?なんて女だ」
みたいなね。
一見すれば悪口とも捉えられますが、事実はなぞらえているんですよね。だからルール違反とは言えない。まぁ狩野に関してはルールを破ったところで裁ける人はいませんから、どうにもなりませんけど。
そんな感じで、その人が触れられたくないこと、その人の精神を崩すことができる内容ばかりを言葉にする場面が多かった。
私もこのパートは早々に読み進めていった気がします。
ただ後半はとても良かったですね。
言葉を交わすことなく、それぞれがそれぞれを信頼し、それぞれの思惑を汲み取り、狩野に悟られないようアシストしていく。その協力がとてもよかったし、言葉を使わず思考を通わすのは、今まで館と船を経験していた彼らならではですから。かなり博打とはいえ素敵なシーンでした。
ここでも藍川は大活躍。だいたいいつも彼なんですよね。LTLの何度も経験したからかわかりませんが、中心となり推理し、号令をかけ、みんなをまとめていく。
最高ダゾォ!?
さて、藍川たちの反撃もあり、狩野の精神に大打撃を与えました。武力ではまず勝てませんから。勝利という形にこだわる芸術家に「完全なる敗北」を叩きつけました。
まぁその後もすったもんだあるんですけど、最終的にLTL世界から脱出しました。もちろん狩野だけを残して。残して、というか、もう花火で打ち上げてたし、現実世界で既に死亡してましたからその事実は変わらなかったんですよね。
とまぁ、こんな感じ。
狩野に関しては...作中でも語られていましたが、寂しかったのではないか、という点はある意味そうだと思いますね。
彼は唯一恩師だけには心を開いていました。他人には一切興味がないような発言をしていましたが。
それでも、館での生活はやはり楽しかったし、彼はそれなりにみんなに興味を持ってたんじゃないのかなぁ。だからみんなと過ごしたいっていうのは本心だったと思う。だいぶ歪んだ形ではあっても。
興味がないと、その人がどんな言葉で傷つき、どんな言葉で精神ダメージを与えられるかなんて、わからないはずだから。まぁ、尋常ではない思考と、観察眼を持ってはいたんだけど。
あと作中で言われていたのは、みんなに嫌われて記憶に残さないようにするため、というのもありましたね。これに関しては半分納得、という感じ。十分にありえるだろうけど、そこまではないんじゃないかな...。芸術家としては完成されていたけど、人としてはまだまだ子供なんだろうって印象を受けましたし。
まぁ作中で語られていたので、狩野はそう考えてたんだよって作者からのメッセージかもしれませんが。
さて、「LOOP THE LOOP」は一先ずこれで終わってしまいました。
正確には終わったのではなく、第一幕が終わったという感じ。次回作からは主人公も交替し、登場人物もガラリと変わるっぽい。もちろん今までの作品の登場人物もチラッとは出そうでしたけど。
うーん、割と虚無感。最終回を迎えると余程苦手な作品でなければたいていこういう気持ちになるんですけど。なんだかんだ毎日読み進めましたしね。面白かったです私は。
なんというか、人間味のある感情描写がとても好きでしたね。喜怒哀楽や恐怖はもちろんとして。妬みや憎しみやらやら。例えば誰かが殺されたとして「自分でなくてよかった」と安堵してしまう気持ちとか。誰かの死や自分の過ちをずっと引きずっていたり。
これ、気持ちをすぐ切り替えられてたら多分ダメでした。私はね。
一番最初の館が一番良作と評価されるのも何となくわかるんですよ。でも私はどの作品も好きでしたね。ありきたりですけど「みんな違って、みんないい」状態。
そもそも、私はそんなに頭も良くないので、「こういう表現はよくない」「こういう物語展開は駄作」とかわからないんですよね。
多分、私が1番評価の基準としては「物語にのめり込めるかどうか」ですね。読んでて辛くなったり、よかったと思ったり、涙を流したり。たいていのめり込むんですけど(小声)
...なんか書いてて自分語りみたいで恥ずかしくなってきたのでこの辺で。
LTLの次回作を読むかはまだわかりません。まだ館~庭の余韻が強いんでしょうかね。まだ藍川と結婚してないし。
で、まだひぐらしは見てないわけ????
そんな感じで。
また次回作を読み、感想を書くことがあれば、書きます。誰とも感想を言い合えないから、ほんとに私の感想を殴り書いてるだけなので、読んでくれとは言えないけど。よかったら。